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月1連載コラム~自動車社会に思うこと~
2013.02.06
最終回 これからの自動車社会のために考えること
これまで3回にわたっていくつかの問題を挙げてきたが、需要を作らなければこれからの自動車社会は続かない。
景気の問題や車種の没個性化の問題、税金の問題など挙げていけば枚挙に暇がない。
ただ、自動車業界としてはもっと広く需要を考えないといけないと思われる。
コストの圧縮で多くの車種をラインナップから消滅させてきたわけだが、「全員が欲しがるような車」なんぞないわけで、そこを見極める必要があるだろう。
もちろん、作っても売れないのは話にならない。
前回でも述べたが、各年齢層への訴求とともに、彼らの声も受け入れることが必要だ。
消費者なくしては業界の発展もない。
しかし、消費者自身もまた賢くなるべきだろう。
特にメディアが必要以上に持ち上げる「値引き競争」を販社に持ちかけることは業界の衰退に繋がりかねない。
本来「値引き」なるものは、「買っていただいたのでこれだけサービスします」という「販社側の感謝」として行われるものである。
消費者が「買ってやるからこれだけ引け」というものではないのだ。
高額商品だからという理由もあるだろうが、「買う時に値引きがなければいけない」商品というのはどう考えてもおかしな話なのである。
ここで思い出してほしい。
前回では「高いから」という話をしたが、それは「余計な付加価値をつけることはない」という意味であり、正当な価値で評価できるのなら問題ない。
「この価値だからこの値段」というレベルを作っていけば、納得のいくラインナップができるのではないかと思う。
極端な話をすれば、以前のように車に格の差をつければいいのである。
リーズナブルな車に高級車レベルの装備をつければ高くなるが、仮にそれがなければどのくらい安くなるのか...を考えれば想像できるのではないだろうか。
これから必要なのは「見合った価値」である。
さすがに昔のように多くのラインナップを揃えるのは不可能であろう。
しかし、その絞った中にも必ず訴求するメインターゲットになる年齢層はある。
グレードの調整も含めて、消費者との購買データのすり合わせをした方がよいのではないだろうか。
そして、消費者もまた、自分は何を求めているのかをもう一度見直してほしい。
販社と消費者の思惑が一致することから、またこの業界が盛り上がってくれればいい。
筆者はそう願っている。
(終わり)
(3月からは自動車と保険についての新連載を行います)